ホロラボ取締役COO、武仙です。新たな経営体制を敷いたホロラボの経営メンバーが日替わりで書く Advent Calendar 。
今日のお題は「ホロラボとコミュニティ」です。 *いっとき、コミュニティーマネージャーと名乗ってたこともあったので力が入ってしまって長文になっちゃいました。
はじまりはコミュニティ
「ホロラボと歴史」の冒頭でも少し触れましたが、2017年のホロラボ創業に際しては、5人の技術コミュニティの仲間たちで立ち上げを行いました。
母体となった技術コミュニティが「TMCN:Tokyo MotionControl Network」です。TMCNは2013年にMicrosoft Kinectなど3Dセンサーに関心を持つ人たちのオフ会的なイベント開催をきっかけに設立されました。
最近はめっきり活動しなくなってますが、最盛期は100名を超える企画メンバーでワイワイとMeetupイベント、ハッカソンや共同開発などを企んで楽しくやっていました。そんな中からSTEAM教育をテーマとした株式会社for Our Kidsが爆誕したり、広島を拠点とした兄弟コミュニティのHMCNがNPO法人になるなどの事業活動も生まれたりしました。
また、MicrosoftがHoloLensを発売開始した2016年のタイミングでHoloMagiciansの立ち上げにTMCNもコミュニティとして参画。記念すべき日本上陸後第1回のイベントでは84名のHoloLensオーナーが集結してハンズオンしたり、その後全国で100回以上もイベントが開催されるHoloLens Meetupには200名以上が参加して盛り上がりました。
この最初のMeetupの場やその後のイベントで、その後にホロラボのメンバーになったり、お客様として一緒に仕事することになったり、近しい業界で大活躍してる方も多数いらっしゃったりで、ホロラボの活動の基盤になったと言えます。
ホロラボとして、コミュニティの場でこんなことがありました
いくつか、コミュニティっぽいなっていうドラマをご紹介します。
- 結構な確率で、社員の本名を知らない。(Xアカウントの名前で呼んでる)
- 結構な確率で、お客様に「Twitter見てます」って言われる。
- 結構な確率で、お客様に「Kinect本が大学研究室にありました」「技術書買いました」って言われる。
- 地方MCNイベントで知り合ったのちに社会人になって関東勤務になった若手エンジニアがTwitterで仕事の愚痴ばっかり言ってるの横目で見てたが、ホロラボ企業に際して中村さんと「一人ぐらい社員がいた方が良いよね」っていって、声をかけたのがクリスマスイブだったが、正月の実家で親にも話してホロラボ入社を速攻で決めてくれた。
- 某企業内ハッカソンにメンター役としてお呼びいただいた場で、さすがに発売したばかりHoloLensはスネ夫プレイになりそうで遠慮して持って行かなかったのに、同社スタッフで自慢げに着用してる方がいらっしゃって、のちにホロラボに入社。
- TMCNの初期メンバーが二人で入社応募してくれたが、当時は外資系コンサル勤務でとてもお賃金が合うはずもなく「良いお友達でいましょう」って言っていたが、1年後に業務拡大するにあたってその二人でなければ、っていう仕事ができてお願いしたら、ちょうどそっちの会社の重大発表があった直後だったらしく、見事に入社してくれた。
- 某MS社スタッフとしてホロラボのアプリ体験アテンドをやってくれていてやたらと「弊社」ってホロラボのことを推してくれてていい人だなって思ってたらホロラボに転職してくれた。
主として採用系が多いかもですが、この他にもたくさん。コミュニティのおかげでホロラボがあると言えますし、ホロラボ自体もコミュニティ的な組織でありたい、と考えていました。
コミュニティが盛り上がった背景
ホロラボを産み出した?TMCNというコミュニティ自体について登壇する機会もあって、その時に感じていたのをまとめたことがありました。
外的要因として、人・モノ・ファイナンス・知の在り方など各方面でのイノベーションが消費行動全体にインパクトを与えた結果Makerという新しい層が産まれ、Makerに向けたプラットフォームビジネスが盛り上がり、Makerとしてのボトムアップなコミュニティだったりプラットフォームが育てるユーザーコミュニティやDeveloper Relationsとか呼ばれる場だったりが盛り上がったのではないかと感じていました。
従来は大手の研究所が何千万円もかけて設備導入していたような3Dセンサーを、数万円でデバイスを買ってUSBでPCに接続して、SDKを無料でインストールしたら開発がはじめられる。エンジニア一人の思いつきで別に失敗しても大した金額ではなくなったので、無数の試行錯誤や何の役に立つのかわからないものでも気軽に作れる世の中に。作ったものは、同じ関心を持つコミュニティの仲間に向けておもしろおかしくLightning Talkして、実際に体験してもらうことが出来る。
そんなことを数十人集まるイベントにして毎月のように開催していたら、以下のような傾向に気づきました。
ビックリするぐらい、すごいスキルを持った人が多い
- 社内で孤立するスーパーエンジニア、会社業務では活かしきれない才能、経験、スキル、あり方
- エンジニアかつ、コミュニケーション上手が多い
- 歌って踊れるスーパーエンジニア
武仙が当時勤めてた会社やその仕事で出会う人たちと、TMCNで出会う人たちが大きく違って感じていました。仕事以外の自分の時間を誰からもやれといわれていないコミュニティ活動に投資して、登壇したり勉強会に参加したり、新しい技術に触れてどんどん吸収する人たちが輝いて見えて、、、気が付いたらサラリーマンを辞めてTMCNの運営を本職としてやることになってましたw
オープンマインド/チャレンジ精神
- 無欲の繋がり
- 知的好奇心をコアとしたゆるい繋がり
TMCNやHoloMagiciansに参加する方はまずは技術が好きで、同じ技術が好きな人と出会いたい。発泡酒片手にSDKに追加された最新機能について熱く語るうちにゆるい繋がりが生まれます。また、自分が得た経験や失敗を惜しまずに登壇したりで共有することでコミュニティに貢献しまくります。それが相互作用で盛り上がって、これまた繋がりが強くなる。
やりたいことDriven
- 課題があるからではなく、やりたいからやる、参加したいから参加する
- 受動ではなく能動、自ら取り組む
コミュニティの場自体、誰かの指示や命令で参加するものではなく、行きたいから行くんですよね。 そこでステキな出会いがあったりするから、また行きたくなる。
こういったコミュニティのあり方だったり雰囲気が、ホロラボを立ち上げて経営する上で大きく影響しました。
TMCNやHoloMagicansの場はたくさんの方々に参加、応援してもらって、大変盛り上がったように考えています。繰り返しになりますがその背景としては、技術革新によって個人で出来る範囲が広がった結果、その新しい技術を扱う前向きな個人と個人を繋げるコミュニティの場の重要性や存在感が高まったことにあったように感じています。
変わらないものと変えていくもの
技術コミュニティから生まれたホロラボでは当初からしばらく、そういった「やる気のある個人」が活動単位となっていました。「永久内燃機関」っていう言葉を創って、自分の奥底から湧き出るモチベーションで技術と向き合う、息を吸うように技術に触れ合う人をどんどんと巻き込んでいったのがホロラボでした。
基本的にそういった前向きな姿勢を評価することそれ自体は当然変わってません。一方でホロラボの事業が大きくなり、組織も大きくなるにつれて仕事の属人化や業務量の不均衡など、個人に頼っているが故の課題も出てきました。
こちらは最近リニューアルしたホロラボのMissionとValueです。
攻めに転じたホロラボメンバーのコアは引き続きど真ん中に置いた「技術で世界を驚かせ続ける」です。そしてコミュニティに絡む部分として「チームで早く遠くに行く」が行動指針として書き加えられました。永久内燃機関を胸に宿して、自ら息を吸うように技術と向き合う個人の集まりだったホロラボですが、このタイミングでこういった優れた個人にチームとして動くことを求めることにしました。
仕事のスタイルもリモートワークが中心でコミュニケーションも最小化しようと思えばいくらでもできる環境でした。今までも情報共有や助け合いといったレベルの話は推奨されていましたが、コミュニティ的なゆるさの中で「やってくれたら良いよ」ぐらいのテンションでした。
今後はホロラボとして目指す大きな桁を変えた挑戦に向けて、個人戦からチーム戦へと変化をしていきたいと考えています。このものすごいスピードで変化する世界の中で、早く遠くに行くために。変わらなければいけないのではなくて、この機会に積極的に変わって大きなチャンスをモノにしたい。
ぜひこの辺のテンションは執行役員な及部さんが書いた一つ前のAdvent Calender「社員65人規模の会社におけるアジャイル開発のリアル」も合わせて読んでみてください。
展望
MicrosoftのHoloLensをきっかけに、コミュニティから生まれたホロラボ。 ちょうど今週末12/20(金)に、HoloLensのお別れ会的なイベントが予定されています。
Tokyo HoloLens Meetup Final hololens.connpass.com
まさに、一つの時代の終わりのように感じますね。
一方で、MetaがQuest 3や3Sなど信じられないコスパのハードを矢継ぎ早に出す一方でRayban MetaやProject AriaからのOrionなど世界を変える勢いで投資して来ていて、まさに我々の業界を前に前にと推し進めてくれています。そして、Apple Vision Proも同社プロダクトらしい桁違いのパフォーマンスと質感で空間にRealityを実現して洗練された体験を実現しています。
そして、AIとXRを組み合わせて使う時にその真価を発揮するタイミングが、もう直ぐ実現しそうですよね。
ホロラボは、コミュニティから生まれただけあってコミュニティの良いところをたくさん知っています。そしてその恩恵をたくさん受けて来ました。 わたしたちは、場づくりが大好きです。
これからもホロラボはコミュニティらしくありつつ、新しい世界を創造していきたいと思います。
そして、ホロラボではそんなチャレンジをご一緒してくれる方を募集しています!!(突然のHiringメッセージw hololab.co.jp
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さてさて、ホロラボAdvent Callenderの次は、、、「ホロラボの顧客(お客様)」です!