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株式会社ホロラボのブログです

さまざまな業界でのXRや空間コンピューティングの活用

ホロラボ Advent Calendar 2024の9日目、2週目に入り担当は再びCEOの中村です!

adventar.org

今日は「さまざまな業界でのXR/空間コンピューティングの活用」について書きます。

浸透がゆっくりなXR/空間コンピューティングですが、使っている人は徐々に増えています。

今回はその用途について概観を書いていきます。

XR/空間コンピューティングの用途

大きく日常利用向けと業務用途向けに別れます。

ホロラボでは後者の業務用途に注力しており、そちらに比重を置いて紹介します。

ひとくちにXRと言っても、いままでは現実の世界を遮蔽してデジタルコンテンツのみを表示するMeta Quest 2などのVR系と、現実の世界とデジタルコンテンツを重ね合わせるHoloLensなどAR系に分かれていました。

最近ではMeta Quest 3やApple Vision Proのように、現実を遮蔽することも、現実を見せることもできるMRや空間コンピューティングのデバイスが増えてきました。

1つのデバイスで従来のVRもARも実現できるようになるので、デバイスは柔軟に選択ができます。

目的によってどのように実現するか。ということに注力できます。

環境含めてデジタルデータで構成されるVR

環境などは現実で構成されるAR

日常利用

Meta QuestやApple Vision Pro、XREALのサイトが日常での利用例となっています。

各社それぞれ特長があります。 MetaやHTCはゲームとして、Appleはコンピューターとして、XREALは大きなディスプレイとしての利用を推しています。

現状では日常使いというところまでは達していませんが、5年後、10年後には、日常的にヘッドマウントのコンピューターを装着して生活する日が来ると考えています。それを実現するために、ホロラボの新しいMISSIONとして「新たな世界を創造する」を掲げました。

Meta QuestやApple Vison Pro のようなヘッドセット型はゲームや映画など動画の閲覧への利用をきっかけとして日常的に使えるコンピューターに。XREALのようなグラスデバイスはスマートフォンのディスプレイの代わりとしてメガネのように装着しながら生活をするような世界です。

Apple Vision Pro を用いたコンピューターとの関わり( Apple Vision Proが登場 — Appleが開発した初の空間コンピュータ - Apple (日本) より引用)

例えば、日常的に利用するユーザーが多いサービスとしてVR SNSのVRChatがあります。

hello.vrchat.com

VRChatではユーザーが思い思いのアバターで世界に入ることによって、自分を表現しながら他のユーザーとのコミュニケーションを楽しみます。

中にはこの世界で数千時間を過ごす人もおり、その人たちにとってはVRChatの中がリアルなんだと個人としては受け取っています。「Virtual」が本来は「実質的な」と訳すと言われるように、VRの世界が実質的に現実となっています。

業務利用

業務利用についても各社のサイトを見てみましょう。

業種の傾向としては、

  • 製造業
  • 建設業
  • 小売業
  • 医療
  • 教育現場
  • 官公庁 などで用いられることが多いです。

シナリオの傾向としては、

  • トレーニング
  • 現場の業務支援
  • 販売支援
  • 教育
  • それらのコラボレーション の事例が多くあります。

コラボレーションはメタバースを含むこともあります。メタバースは数年ほど前に大きな話題となり現在は収束したようにも見えますが、実際に利用している企業も多く、流行から実利用へフェーズが移っています。

このように自社の業種とシナリオを組み合わせることによって利用用途を検討します。

明日以降の記事ではこの中のいくつかの利用方法について深掘りをしていきます。

製造業とトレーニング

例えば製造業であればトレーニングの用途で利用されることが多くあります。

危険な場所や、使い方を誤ると危ない設備の利用を擬似的に体験することによって安全な業務を遂行できる安全トレーニング。

設備や業務そのもののデバイスを通してトレーニングを行う場合もあります。この時、ARよりであれば実際の対象をモノに教材を3Dとして重ね合わせてトレーニングをする方法や、VRよりであれば対象のモノ自体もデジタル化してデジタル上でトレーニングを行う方法があります。

MRトレーニングアプリ Assists

ホロラボでは「Assists(アシスツ)」というアプリケーションでこれを実現します。

Assistsは自動車会社や重工業系の会社など、組み付け作業のある業種のお客様から評価をいただいています。

従来のテキストや動画のマニュアルと組み合わせて使用することで、隠れた場所の視点や、実際の現場に重ねての動きなど、従来のマニュアルでは難しい視点や見せ方によって理解度を上げ習熟度の早期工場に寄与します。

ご利用いただいているユーザーの事例として、製造業の部品組み立て作業での教育訓練のケースで、いままで10日かかっていたが、5日に短縮されました。

Assistsの導入効果としては、トレーンング期間の短縮に限りません。ヘッドセットとアプリケーションでトレーニングが完結するため、トレーナーの同席が不要になり、自主学習もできるようになります。これによってトレーナーが見られる人数の制限がなくなり、より多くの人数のトレーニングを並行して実施することが可能になります。

MRトレーニングアプリ Assists

装着者の動きをリアルタイムで記録する TechniCapture

現場の動き自体を記録することで、トレーニングの教材自体を作成する、ベテランの動きを記録して視覚的に学ぶための「TechniCapture(テクニキャプチャ)」も自動車会社様など製造業各社から評価をいただいています。

Meta Quest 3のヘッドトラッキングやハンドトラッキングを利用して、ベテランの動きを即時記録し、再生が可能になります。これによって記録したベテランの動きと初学者の動きとの比較が可能となり、作業や業務フローのどこがボトルネックとなり時間がかかっているのかということが比較できるようになります。

こちらの動画は株式会社アイシン様の導入事例となります。

www.youtube.com

建設業、製造業とモデルの可視化と現場利用

XR/空間コンピューティングは3Dのデータの表示と相性が良いため、建設業のBIM(Bilding Information Modeling)や3D CADとの相性が良いです。しかし、BIMや3D CADは多くのXR/空間コンピューティングが対応しているファイルフォーマットとは異なる独自の形式であることが多いです。ホロラボではこの課題を解決し、手軽に3Dデータを可視化できる「mixpace(ミクスペース)」というサービスを提供しています。

mixpaceはスーパーゼネコン各社様をはじめとして、建設業、製造業で広くご利用いただいています。

mixpaceを利用することで、手元に対応ファイルがあれば専用Webサイトにアップロードすることで、数分でデバイスでの表示が可能になります。

3DデータをARで扱う用途について、3Dデータは多くの場合、実寸で設計されているので、デバイスでも実寸の表示が可能です。これによって建物の完成イメージや、設備の配置検討を、実際の現場で実際のサイズで実施することができます。

従来の図面や画面での3Dデータ表示の場合、実際の大きさは見ている人それぞれの想像に委ねることになります。想像はそれぞれの習熟度に依存するので、実際のものになると想像と違っていることが多いという課題があります。これを3Dデータで実寸で確認することにより、実際のものに近い状況を作ることができます。これによって人による齟齬が小さくなり、合意形成が早くなること、実際のものができた後の認識の違いを少なくすることができます。

3D CAD/BIMファイルのAR/MR見える化ソリューション mixpace

Apple Vision Proでの建設、製造設計・デザイン分野での利用

Apple Vision Proによる高精細なディスプレイ表示によって、いままで導入が難しかった建築設計会社様を含む建設業や、PC用のデバイスでの利用が多かった自動車会社様をはじめとする製造業のデザインプロセスへの利用が可能になりました。

この分野はVarjoやHTCなどPCに接続するタイプのデバイスを利用することが多かったのですが、Apple Vision Proによって表示精度、表示性能などが近づき、いままで利用が難しいかった設計・デザインフェーズでの利用が進み始めています。

ホロラボでも設計やデザイン分野でのご依頼をいただき、実現に向けての取り組みを行っています。

建設業のBIMとXR/空間コンピューティングの親和性

業界を建設業に絞ると、BIMとXR/空間コンピューティングの親和性が高く、ホロラボ創業当初よりご依頼をいただいております。

建設業との取り組みについては、先方のプレスリリースに掲載できるような成果のご支援をしています。

www.obayashi.co.jp

BIMの取り組みをご一緒する中で、ホロラボでもBIMの知見をため、デバイスに関わらないBIM + Webのシステムのご支援が可能になりました。

www.taisei.co.jp

官公庁とコラボレーション

官公庁でもXRやメタバースの利用が増えてきています。地方自治体では観光とXRやメタバースを組み合わせることで環境客の誘致を行うところが増えています。

ホロラボの事例としては、国土交通省の3D都市モデルPLATEAUのユースケース開発があります。

PALTEAUは土交通省が主導する、日本全国の3D都市モデルの整備・オープンデータ化プロジェクトで、全国数百の都市の3Dモデルがオープンデータとして無料で公開されています。

www.mlit.go.jp

ホロラボではPLATEAUのユースケース開発としてまちづくりをテーマとした取り組みを行っています。

地図上に配置された情報をPLATEAUと合わせて3Dで情報の共有、現実の場所にてARで実寸表示することで自治体と住民の理解度を合わせ、新しく作るまちの合意形成を促します。

PLATEAUとXRを利用したまちづくり事例

一般ユーザーへの体験

日常利用にも近いところですが、一般ユーザー向けの体験コンテンツとしての取り組みも進んでいます。

「品川イルミネーション2023 with XR City」の事例では、一般ユーザーのスマートフォンにARアプリをインストールし、まちを回遊してコンテンツを楽しみます。 アプリの施策として、回遊することでポイントが貯まり、ゴールの施設でそのポイントを使って食事ができるようになっています。

3Dのコンテンツを利用することで、まちの中をダイナミックに動くコンテンツが、従来の位置情報を活用した回遊アプリからさらに魅力的になります。

本プロジェクトでは、品川港南口の開発を行っている、NTTアーバンソリューションズ株式会社をはじめとするNTTグループの各社様のご支援となっています。

品川イルミネーション2023 with XR City

メーカー各社とのパートナーシップ

ホロラボでは大手のお客様とのパートナーシップだけではなく、メーカー各社とのパートナーシップを結んでいます。

Apple, Microsoft, MetaのBigTechをはじめ、日本国内メーカーとしてグラスデバイスの設計・製造を行っているNTT系のXR事業会社であるQONOQ社ともパートナシップを結んでいます。

これのパートナシップによって適切な情報を取り入れご提供することで、それぞれのハードウェアの特長を活かしたアプリケーションやシステムの提案、開発を行っています。

まとめ

このように業種、シナリオの組み合わせによって、利用価値が高い用途があります。XRや空間コンピューティングを組み合わせた業務改善、業務支援にご興味があればぜひ下記リンク先よりお問い合わせください。 具体的でないふわっとした状態からでもホロラボはご支援が可能です。

hololab.co.jp

今回の記事の内容に関わらず、XRや空間コンピューティングに興味があり、自社での適用ができないか。とお考えの方もぜひお問い合わせください。こちらも、具体的ではない段階からご連絡いただけると、そこから具体化したご提案が可能になります。

このようなお客様へ成果を出すメンバーを募集していますので、ぜひご応募ください!

hololab.co.jp

明日は伊藤さんが担当します。 お題はPLATEAUの取り組みについての深掘り、「torinomeとPLATEAU、まちづくりでのXR/空間コンピューティングの活用」です!