ブログ@HoloLabInc

株式会社ホロラボのブログです

「XR・3Dデータが関わるシステム開発ならホロラボ」を超えていくために

はじめまして。久保山と言います。

ホロラボでは執行役員 / 新規事業開発部長として働いています。

本日はホロラボ Advent Calendar 2024の6日目。

adventar.org

Advent Calendarは日替わりで筆者が変わりますが、経営チームでローテーションする計画なので、私は3記事を担当する予定です。せっかくなので自分の担当する3つの記事が繋がるように記事を書いてみる、しかも 「空間コンピューティングとDX」 という壮大なテーマについて考えていることを書くというチャレンジをしてみようと思います。

内容としてはこんな感じ ↓

「空間コンピューティングとDX」

  1. ホロラボはどんな業界のどんな位置にいる会社? [12/6公開 本記事]
  2. 空間コンピューティングをDXに活用するには? [12/13公開]
  3. 今後の新規事業をどう考えてどう取り組む? [12/19公開]

この記事では「1. ホロラボはどんな業界のどんな位置にいる会社?」について書きます。

まずは『なぜ「空間コンピューティングとDX」なんて壮大なテーマの執筆に(無謀にも)挑戦しているのか?』 の背景として「これまでホロラボはどんなところで、どういう仕事をしてきたのか」、「今、何を問われているのか」を整理しておこうと思います。

その前に

本題に入る前に、2つだけ先に話をさせてください。 それは「筆者の自己紹介」と「テーマにした象徴的な言葉の意味」です。

筆者の自己紹介

私がホロラボに入ったのは3年と9ヶ月前。

経営企画として入ったはずなのですが、入社後1ヶ月くらいで自社プロダクトの運営に関わるようになり、気づくと中長期の開発受託案件のPMなども担当していました。人のお話を聞きながら、それを言葉にしたり図表にしたりすることが得意なため、問い合わせ対応等も含めて3年9ヶ月の間に様々な業界のお客様のお話を聞く機会がありました。今回の記事はその経験から感じたことが中心となります。

象徴的な言葉の意味

一連の記事で使う象徴的な言葉のいくつかについて、どんな意味で使うかを最初に確認しておきたいと思います。それぞれ様々な定義や解釈がある言葉なので、「今回はあくまでもこんな意味、ニュアンスで使ってるよ」というのを事前に示しておこうという意図です。

■空間コンピューティング(Spatial computing)

私たちの体が存在する身体的/物理的(フィジカル)な空間に対して、デジタルデータを何らかの形で重畳すること。また、フィジカルな空間の情報を何らかの形でデジタル空間に持っていくこと。この両方の技術的な営みを包括する言葉として、この記事では「空間コンピューティング」という言葉を使います。「XR」と言ってしまうと取り組んでいることを包括できないので、色々と考えた結果、「空間コンピューティング」という言葉を使うことにしました(この言葉使ってみたかった)。

 

■DX(Degital Transformation)

DXには3つや4つのフェーズで定義されるような定義が多いですが、この記事では「デジタル技術やデジタルデータを利用して、業務の改善をしたり、ビジネスモデルの変革をしたりする取り組み」くらいのざっくりしたニュアンスでDXという言葉を使います。

テーマとして掲げたこの2つの言葉は上記のような意味合いで使います。言葉の定義・解釈は本題ではないので、「それは解釈違いだ!」ということがあってもご容赦ください。

業種問わず、大手企業のお客様と歩んできた8年

ホロラボの創業は2017年1月18日、Microsoft HoloLensの日本販売が開始した日でした。

その頃を思い返すと、謎につつまれたMagic Leap社が体育館でクジラが跳ねる映像を公開してたり、ポケモンGOが流行っていてARという言葉の認知度があがったり、Big Tech各社がスマートグラスやヘッドマウントディスプレイに巨額投資してるというニュースが流れていました。当時、私はホロラボに所属しておらず全然違う業界にいましたが、ニュース等を見るたびに「ポスト・スマートフォン時代が近づいているのかなぁ...」と素人ながらに考えていました。

ホロラボ創業のきっかけとなったMicrosoft HoloLensは外部PCやスマートフォンを必要としない単体(スタンドアロン)で動作するデバイスだったこともあり、多くの企業で先行トライアルが始まります。創業当初、この波に乗ったのがホロラボでした。

自社サービスを作ることよりも、技術が好きで、この技術で何ができるか試行錯誤するのを楽しんでいたホロラボは、製造業や建設業、運輸・通信業など業種を問わず、様々なお客様の技術支援や技術検証に取り組んでいきます。新しい技術ということもあり、この時点で予算を組んで取り組めるのは大手企業ばかり。結果、日本を代表する大手企業の皆様との取引実績が積み上がっていきました。

入社した時、取引先一覧に各業種のトップ企業の名前がずらりと並んでいるのを見て驚いたのを今でも覚えています。それはまるで「XRや3Dデータに関わる技術検証のための大手企業の外部R&D組織」のようなポジション。 創業の経緯や社名から「HoloLensアプリの開発会社」と思われることが多かったのですが、意外にも創業初期の頃から半分近くはHoloLens以外の開発案件に取り組んでいたようです。

ホロラボの歴史については3日目のCOO伊藤の記事をご覧ください

「現場」にこだわる

新しいミッションに「フィジカルとデジタルをつなげ...」とありますが、ホロラボは「フィジカル(身体的/物理的)な空間」を軸足と考え、そこにデジタル技術・データを活用していくという思いがあります。フィジカルな空間にはオフィスや店舗、倉庫や工場などはもちろん、街や国、地球も含まれます。それら様々なフィジカル空間で行われる人の営みを技術を通じてより良くしていきたい。

ホロラボは社員の大半がフルリモートで働くエンジニアですが、フィジカルが軸足にあるため「現場」があります。それはビルや橋梁などの建設現場だったり、製造業の工場だったり、物流倉庫だったり、街だったり・・・。XRデバイス向けのアプリ開発などを行なっているので、もともと機材が多い会社ではありますが、機材置き場にはヘルメットや安全帯、安全靴、三脚など現場用品(?)も。

私自身も建設途中のビルに入ったり、工場見学では通らないルートで工場に入ったりしてきました。工場や建築現場は街中ではないことが多いので移動が大変な時もありますが、ホロラボメンバーは機材を担いで全国、海外の現場に今日も誰かが出張していると思います。

「XR・3Dデータが関わるシステム開発ならホロラボ」を超えていくために

ここ1,2年で新しいXRデバイスが各社から発売され、ホロラボも様々なデバイスでのアプリ開発を行なっています。スマートフォンやタブレットのアプリ開発も根強く、デバイスが関係ないWebシステムの開発も増えてきました。3Dデータ自体を作るところから取り組むこともあり、まさに職人(データスペシャリスト)として最前線を走っているメンバーもいます。「XR・3Dデータが関わるシステム開発ならホロラボ」 というくらいに日本国内では一定の認知をいただいていると思います。

また、案件だけではない社内での技術開発も行われています。今、私の個人的な推し技術は「高速軽量点群エンジンDawn」です。現在、工場や建設現場では点群を撮影するのが主流になりつつあります。でも、点群は高精細であればあるほど容量が重たく普段使ってるPCでは表示できない・・・。それを解決する技術です。今後の展開はまだ検討中ですが、色々な可能性を感じています。Dawnについては2024年10月に開催した「HoloLab Tech Showcase 2024」で紹介するセッションが行われましたので、よかったらアーカイブを見てみてください。

Dawnのセッションアーカイブはこちら

一方で、時間が経つに連れ、お客様の課題や期待も変化しています。当初は「この技術で何ができるか試したい」というお問い合わせが大半でしたが、今は「こういう業務改善はこの技術で実現できるか?」、「お客様に新しい体験や価値を提供したいがこの技術でできるか?」という相談が多い印象です。つまり 「我が社のDXをその技術でできますか?」という問い になっていると感じます。

DXの達成を目指すには、これまで以上にお客様の解決したい課題は何か、達成したい目的は何か等をもっともっと知る必要があります。そして、その達成に向けた手段は、必ずしもXRが最適な技術とは限らないし、3Dデータが最初から必要とも限りません。AIなどの新しい技術の活用も選択肢として検討する必要もあります。

私たちの活動はすでにXRに留まっていません。「フィジカルとデジタルをつなげる」というミッションに近いのは「空間コンピューティング」という概念だと思っています。そして、お客様から求めらていることは多くの場合「DX」です。このような背景・経緯から今後の事業を考えるために、一度、私たちの視点から見えている「空間コンピューティング」と「DX」について整理し、仮説を描いておくことにしました。

それをこのように記事として公開することで、様々な人たちとディスカッションをし、新しい世界、より良い人の営みを共に創ることができると嬉しいです。

また、ホロラボでは現在、「エンタープライズセールス組織」を立ち上げる仲間を募集しています。名だたる大企業の方々と密に関係性を構築し、一緒に新しい価値づくりに挑戦しませんか?

募集ページ:エンタープライズセールス

次は

最初に言葉の確認をしたのに、「空間コンピューティング」も「DX」も最後に少しだけしか登場しませんでした。 次回の「空間コンピューティングをDXに活用するには?」はまた来週に。

明日は及部さんによる「受託開発でもアジャイル開発はできるのか、について本気出して考えて取り組んでみた」です。