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株式会社ホロラボのブログです

Apple iPad/iPhone搭載「LiDARスキャナ」について調べてみた (1)

ホロラボ武仙です。好きなものは、赤外線です。
あ、最近は超音波とかも好きです。

ホロラボが出来る前はTMCNという3Dセンサーのコミュニティーで活動していたりもあったので、3Dセンサーのことはすごく今でも気になります。 そんな中で、こんなニュースが出ました。

www.moguravr.com

このニュースが気になってLiDARについて調べ始めたら週末の時間の相当を消費。 Twitterでも反応をたくさんいただいて関心のある人が多そうだったので、こちらのブログにも加筆しつつまとめて書いておきます。 ※そして、書き始めたら分量がとんでもないことになってきたので、たぶん3部作ぐらいになりますw


ニュース記事自体はAppleがLiDARスキャナ用部品のサプライヤーなUS企業II-VI Inc.(ツーシックス)に、4億ドル(約440億円)をAward(支給?)したとの報道。 ただ、それまでいろいろと知ってた話と総合すると「注目のLiDARのサプライヤー」って言い切ると語弊がありそうだなと思って調べ始めたのがきっかけでした。

LiDARとは何ぞや?

そもそもLiDARって何よ?って話から始めなければなりませぬ。

こちら、AppleがiPad ProへLiDARを搭載する前の2020年1月につぶやいてます。時代の先を行ってるぜアピール。 何で当時これを言ってたかと言うと、Livoxという車載用ながら当時にしては超ローコストなLiDARが発売されたから。

LiDAR(ライダー)はいわゆるアクロニム(acronym)=頭文字語で、全体を記載すると下記2つのバリエーションがあるようです。

  • LiDAR Light Detection and Ranging - 「光検出と測距」
  • LIDAR Laser Imaging Detection and Ranging - 「レーザー画像検出と測距」

ja.wikipedia.org

2文字目の「i」を大文字で書いたり小文字で書いたり、あとWikiによると軍事関係では「LADAR」と記載したりもあるようで表記ゆれが気になるところですが、光の跳ね返りを見て距離を測る技術って、ざっくり覚えてますw

ToF方式とLiDARの進化

代表的なLiDARの方法で有名なToF方式(Time of Flight)を例にしてみます。ToF方式LiDARの構成は発光部と受光部、その計測回路からなります。光源が発行した際の時間と、受光部がその光を受けた時間の差がTime of Flight、光の飛行時間?ということで、この時間差から計算することで対照物までの距離が割り出せる、という原理です。

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LiDARの基本的な仕組み (浜松ホトニクスウェブサイトより)
LiDAR | 浜松ホトニクス

あとこれもWikiを読んでなるほどなって思いましたが、いわゆる「レーダー:RADAR」も「Radio Detection and Ranging」のアクロニム。Radio=無線も、Light/Laser=光線もどちらも突き詰めれば「波」って観点では一緒。そう考えると、基本は「LiDAR」が表記的に正統派なのかもとかw

Appleが一番最初にLiDAR搭載を発表したのがA12 Bionicを搭載したiPad Pro2機種で、2020/3/18のことでした。世界的に、この日がLiDAR記念日ですね。(謎 www.apple.com

そしてApple製品においては必ず「LiDAR」と2文字目のiは小文字表記されているので、この場合にはLight Detection and Rangingの略である可能性が高そうです。 そしてLiDARセンサーと言わず、「LiDARスキャナ」なのですよね。


シンプルなLiDARとしての測距計

ちょっと話題がそれますが、↑の浜松ホトニクスさんのLiDAR原理をそのまま製品にした感じなのがこの辺のゴルフとかで使う測距計です。写真はニコンのページのものを参照。

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ニコンCOOLSHOT(測距計)・システム詳細

測距テクノロジー | テクノロジー | COOLSHOT スペシャルコンテンツ | ニコンイメージング

ただ、これは直進するレーザーの当たった1点のみしか測れないので、「スキャナ」とは言えない感じ。

それで登場するのがこういうもの。

回転式2D LiDAR

レーザーと受光素子は1つなので、それをモーターで回転させてLiDARデバイスから水平方向360度の距離データを測定します。

これはKickstarterに出てた激安2D LiDAR。動画を見て頂くと、右上のテーブルの上の黒い円筒形のブツがグルグルと120rpmぐらいで回ってるのがLiDARデバイス。左のPCモニタで可視化してるんですが、さすが激安だけあって荒かったりであんまりよく分からないですねw

一般的なLiDARはこのタイプのイメージ。

この方式だと、北陽電機LiDARはインタラクティブコンテンツの制作で使ったりなイメージで有名ですね。

www.youtube.com

これでもまだLiDARデバイスを中心にした2D平面しか取れないので、これを3Dにしたい各位がいらっしゃいます。

やっぱり一気に全部センシングしたい「3D LiDAR」

センサー仲間な光輝さんは、2D LiDARの回転平面をもう一つのモーター(Keiganモーター)で物理的に回転させて3Dにしてたり。

他によく見るのが、2D LiDARを2台直交配置して3Dにしてるケースとか。

これはポータブルな産業用スキャナNavVisの着用する3Dスキャナ。THETAで有名な「おっさんが映り込む致命的なバグ」を構造的に取り除きつつ、奥行きの点群もカラーも絶対逃さないぞっていう力強いデザインが魅力的ですw

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NavVis VLX: VelodyneなLiDARが頭上と手元にそれぞれ直交関係で配置されてます

www.navvis.com

Solid Stateな3D LiDAR実現のアプローチ

メカ的に回転させるのはコストが高い、耐久性が下がる、物理フットプリントがデカイ、などの様々な課題があるので、最近はグルグルと回さないで3D LiDARを実現しようとしてる動きが多くみられます。詳しくはそれ系の記事があるのでご参照いただければですが、大きく下記のアプローチとその組み合わせっぽいです。

  1. レーザーを複数にしてラインスキャン状態にする
  2. MEMSを使ってメカながらMicroに実現する
  3. 光学的に3D LiDARにする

もともと回転系LiDARを使った自動運転で著名なVelodyneのLiDARは、内部にレーザーを複数チャンネル搭載したものを回すことで限定的ながら3D LiDARを実現する特許を取得していたようで、それで有名なんですね。上記1のアプローチ。

www.youtube.com

このページが経緯については詳しいです。

www.argocorp.com

IntelもRealSenseシリーズでMEMSを使ったSolid State LiDARをリリースしています。3D LiDAR実現に関しては2のアプローチ。

www.switch-science.com

戦争の火種を内包した危険なTweet。。。

そして、肝心なAppleのLiDARスキャナでは、アプローチとしては1の「複数光源」と3つめの「光学的に3D LiDARにする」っていうアプローチを組み合わせたもの、っていう風に武仙は理解をしています。

それを実現してるのが発光素子の「VCSEL: Vertical Cavity Surface Emitting Laser」と、光学素子の「DOE: Diffractive Optical Element」

次回投稿ではその辺を詳しく見て行きたいと思います。(次回リンク)


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