ホロラボ Advent Calendar 2024の22日目は、昨日に引き続き業務委託の人事としてホロラボに関わっているみやけんです。
組織開発のラボとしてのホロラボ
前回はホロラボの強みについてまとめてみました。
少し振り返りをします。
強みとは、「ある環境において目的の達成をするために利する特性」でした。
環境と目的が以下です。
- 環境:XR業界の立ち上がりでPoC案件が大量にあった
- 目的:XR業界のエンジニアが楽しく開発できる場づくり
環境と目的が矛盾するようですが、エンジニアにとっての場づくりが環境とマッチしていた、ということそのものがホロラボの強みだったのでは?ないかととらえたのが前回の大まかなまとめです。
しかし、環境や目的が変われば、強みは変わってくるわけです。 前回の終わりに少しお話した通り、ホロラボは上場を目指し、資金調達をしています。
上場の最大の利点は「大きな資金調達」であり、それに見合う「大きな成長をし続ける会社」であることが求められます。
今回は、ホロラボの目的を「大きな成長をし続ける会社」として見ていくと、今までの強みがどう見えてくるのか?を環境の変化とともに対策を見ていきましょう。
視点1:目的の再設定
そもそもホロラボは何のために上場するのでしょうか?
上場はもちろんゴールではありません。あくまでも事業成長のための資金調達という手段です。
ですから、ゴール設定が必要です。
そのゴール達成のための通過点や手段としてどう上場を位置づけるのかというマイルストーン設計が求められます。
そこで、「いったいホロラボはどんな会社になりたいのか?」という議論が何度もされました。
以前から続けていた議論ではありますが、最も活発になったのがここ1年ぐらいだと思います。
償還期限が近づいたこともありますし、上場を目指してJoinした経営メンバーの意志なども働いたと私は見ています。また、以下の2、3の視点も関わっています。
視点2: 外部環境の変化・状況
はっきりと分かれ目があるわけではありませんが、ここ2~3年でXR業界での受託案件がPoCから徐々に変わってきています。
- PoC案件は引き続きあるが減っている
- 大規模なシステム開発などの依頼も増えてきた
これは恐らくXR業界が立ち上がった当初、クライアント企業が研究投資として行ってきたものがひと段落し、本格的に投資し続ける企業と、そうではない企業が分かれてきたのだと思われます。
そして、このまま単発やPoC案件だけを受託していても、大きな成長は見込めないことが見えてきました。(以下の内部環境にも関わります。)
視点3:内部環境の変化・状況
ホロラボの内部でも環境の変化がありました。
- 社員数の増加
- 社員の人数は私がJoinした2020年の30名から倍の2024年には60名以上になっています。それによって内部での人・チーム・組織に関する問題も多様化しましたし、取締役2名で組織や個人の状態を把握しきれなくなってきました。少数ではありますが、規律を守らない社員、「ホロラボらしい行動・態度」ではない社員も出てきました。逆にもっと奨励したい行動・態度も目立ってきました。
- 組織内の差
- 売上・利益が大きい部門とそうでない部門、チームや個人の能力、ケイパビリティにも差が出てきました。管理職がいない状態では、取締役2名の目が届くところはケアできますが、それ以外は野放しに近い状態だったかもしれません。(もちろん言われなくても自らリーダー的、マネジャー的存在になっていく人はいました。そういった方々の一部が今の経営陣や管理職を担っていると思います。)
- 受託以外の事業が成長していない
- 現在でもそうですが、大きく売上・利益を伸ばしている受託以外の事業はありません。
これらの変化や状況が意味するものは?経営陣は何を考え、何を話したのか?
これらの変化や状況は何を意味していたのでしょうか?
端的に言えば、目的と環境が変わり、強みの一部が強みではなくなってきたのではないかと思います。
他にも、問題になりそうだけれども放っておいたことが、環境の変化や目的の変化によって如実に問題として認識され始めたとも言えるのではないでしょうか。
具体的には、、、
- このままで上場できるの?
- いや、そもそも上場はゴールじゃないでしょ?どんな会社になりたいの?
- 今のままでいいの?
こういった声が挙がり、経営陣にも危機感が生まれましたし、むしろ取締役以外のメンバーから「このままでいいのか?」という議論が持ち込まれたと私は認識しています。
取締役はいい意味で突き上げられる形で、改めてホロラボのあり方、未来を問われる形となりました。(この詳細はどこかでお話しする機会があるかもしれませんが、取締役2人にとってはなかなかハードな場だったと思います。)
結果として何をしたのか?
侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論、議論するメンバーも変化しながら、以下のようなことが2022年頃から順次行われていきました。
- 執行役員の任命
- GL(グループリード)やTL(チームリードの)任命(執行役員未満の役職者の設定)
- MISSION、VALUEの設定
- 人事考課制度の開始
1~2はこれまで実質的なフラットに階層性が入ったので大きな変化です。
3のMISSION、VALUEに関しては取締役以外での初の経営合宿を何度か経て、最終的に2024年12月現在の経営メンバーで策定をしました。
それまでにも「目指すもの」の言語化などをグループリード含めてしましたが、メンバーの再編成などを経て、新たなMISSION、VALUEが2024年9月の経営合宿で決まりました。
また、昇給も基準が曖昧だったため、人事考課制度も入れました。
なぜそのような決断をしたのか?
(これは私の私見が大いに入りますので、経営陣としての統一見解ではない可能性もありますのであしからず。)
- 階層性を入れた理由
- 放っておいても事業も組織も成長しない。中間的なリーダーシップやマネジメントと経営が一体となって事業を創造しドライブし、組織を成長させていく必要がある
- 人間としてはみな対等だが、組織にはある程度の階層性がないと目的に対して組織が機能しづらい
- MISSION、VALUEの設定をした理由
- 明確な目的、規範がないと組織がまとまらない、どこに向かっているかわからない
- 上場はゴールではなく、その後も成長を続けるのであれば、改めて強力な目標を再設定する必要がある
- 「ホロラボが目指すあるべき行動・態度」などを明確に示し、企業文化を醸成してく必要がある
- 人事考課制度の導入の理由
- 取締役2人では組織・人が見切れなくなってきた
- 新しいMISSION、VALUEや事業目標とより紐づいた制度が必要
- 明確な基準をもってクリアな判断をしなければならない(結果として成果、パフォーマンス、VALUE体現の3つによる総合評価となった)
今までは受託をとにかく受けて、業界内での経験を持つ人や、面白い技術を持つ人材を採用してきました。点と点がつながり、新しい技術につながり、新しい受託案件も取れました。自由な組織でどんどん受託すれば、それはXR業界の隆盛や、大規模なシステム案件の受託も相まって、ある程度の売上になっていましたし、稼ぎ頭の部門がしっかりと利益を還元してくれました。
しかし、目的の再設定や、再設定の一因となった環境の変化も踏まえて、強く現状否定をする必要があったのです。そして、2022年前後から徐々に組織や人事を変化させていきました。
MISSION、VALUEが設定されたのは2024年9月、人事考課制度がスタートしたのは2024年12月。変革は始まったばかりです。
このままでいいのか?これまではダメだったのか?
最後に、ホロラボは今後どう変わるべきなのでしょうか?
強みは、「ある環境において目的の達成をするために利する特性」でした。
これまでの全てはダメなのか?
何がMISSION達成に対する強みなのか?新たに身につけなければならないことは何か?
このままではMISSIONを達成できない弱み・課題はなにか?
これを環境と目的に合わせて考え、実践し続けなければなりません。
ホロラボの強みは経営陣の中でも意見が分かれているのではないでしょうか。
どう考えるべきか、どうするべきか、どう話し合うべきか、私にも答えはありません。
しかし、この約2年間がそうであったように、目指すべき状態(MISSION)と問いに誠実に向き合えばきっと答えは出てくるのだと信じています。
さいごに
人事シリーズを3回に渡って担当させていただきましたが、正直なところ、ほんの一部、そしてある一つの側面しかお話できていないと思います。
社員を含むステークホルダーや様々な方に誤解を与える表現もありそうです。
もっともっと色々な個別の事情、ダイナミックで複雑なシステムの中で組織や人事は動いてきたし、もっといい文章を書くべきなのですが、私の能力ではまとめきれませんでした。
機会があれば、もっと面白く、明確に、分かりやすく書いてみたいと思いつつ、いったん筆を置きます。
読んでいただいた方、ありがとうございました。